もう一つ興味深いのが北海道の花札である。この地方に独特の遊技法「トッパ(十八)」については平成年間(1989~2018)に何人かによって紹介されており、それが炭鉱や漁港だけでなく、アイヌの人々を含む道内の各地で広く行われていたことが明らかになった。

北海花札は、明治前期(1868~87)の開拓時代に北海道で使われていた花札に起源があるが、当時は、博徒集団の勢力圏が、漁業中心のものと鉱業中心のものに分かれており、一方が岩手県花巻市のカルタ屋から札を仕入れており、他方が京都のカルタ屋から仕入れていた。残念だがその痕跡は、花巻製のものについても、京都製のものについても見つからないでいたが、任天堂に木版の版木(原版)が残されており、彩色は不明だが京都の北海花札については図柄の概要が分かった。なお、京都の場合、大正期のカルタ屋の目録にも「北海花」が掲示されており、長い間供給されていたことが分かる。

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