一 「歌合せかるた」の広まり (三)歌合せかるたの社会的流行は承応年間以降 歌合せかるたの遊技法は、最初は『当家雑記』がいうように「貝覆い」と同じく「下の句」札を床上に円形に並べ、その中央の空地に「上の句」札を一枚出して対応する「下の句」札を探すというものであった。まさに「上の句」札と「下の句」札を合せ取る「歌合せ」の手法である。 こうした歌合せかるたの遊技は、貝覆とそれを引き継いだ「絵合せか... 館長
一 「歌合せかるた」の広まり (二)和歌は口承文芸の文化財 「百人一首歌合せかるた」には、ゲームの比較研究の上では見逃せないもうひとつの大きな特徴がある。このかるたの遊びでは、江戸時代前期、元禄年間(1688~1704)頃から、音声が使われたのである。今日、日本人はこのことを全く当たり前のように受け止めているが、世界のカードゲーム史のなかではごく稀なできごとである。 日本の口承... 館長
一 「歌合せかるた」の広まり (一)歌合せかるたは女性の遊技具 古今和歌集加類多(制作者不明、 三池カルタ・歴史資料館蔵、江戸時代中期) 蛤貝の貝殻は一対の相手としか合わないことが、夫婦の末永い和合を願う婚礼にふさわしいとして、江戸時代には、上流階層の女性の嫁入り道具にこの貝殻を材料に用いた貝覆の遊技具が加えられた。実家が裕福であれば、それだけ豪華なものが持参された。 これを真似し... 館長