二 歌合せかるたの遊技法 (四)二人で行うかるた遊び 遊女かるた遊び図(西村重長筆、元文年間頃) 江戸時代中期の絵師、西村重長の肉筆の絵画に、遊女が二人でかるた遊びをしている情景を描いたものがある。西村は西洋の遠近法を取り入れたパイオニアの一人であり、それを用いた遊郭の部屋と、伝統的な日本画の遠近法を用いた風景とを一枚の画面に収める、過渡的な画風の絵や、歌舞伎舞台の「浮絵... 館長
二 歌合せかるたの遊技法 (三)元禄年間に始まる遊技法「むべ山かるた」 近代の百人一首の遊技法では、和歌の上の句のカードが読み上げられ、対応する下の句のカードを素早く取ることが要点になり、ついには「競技かるた」としてもっぱらスピードを競う体育の試合の様相を示すようになったが、江戸時代には、スピードに拘泥しない遊技法があり、とくに、古い時期のものには、他の遊技者に配られたカードに侵略して攻撃... 館長
二 歌合せかるたの遊技法 (二)「上の句札」を吟誦する遊技法の導入 その後「歌合せかるた」の遊技法は、「上の句」のカードを場に出すのではなく読み手が独特の装飾音声が加わった「吟誦」、つまり音節の引き延ばしと言葉の節回しを込めた発声で読み上げて「下の句」のカードを探すものに変形されていた。そして、このように変化してみると、以前の沈黙の遊技法よりも遊技の座が賑やかで華々しくなり、この遊技に... 館長
二 歌合せかるたの遊技法 (一)「露松」と「哥がるた」 『色道大鏡』(写本) (畠山箕山、延宝六年) 江戸時代初期(1603~52)、前期(1652~1704)の遊技法の理解で最も重要視するべき実証的な記録がある。延宝六年(1678)刊の『色道大鏡』である。同書で著者の畠山(藤本)箕山が「巻第七 翫器部」などで取り上げた遊郭での歌合せかるたの遊技、「續松」と「哥がるた」を見... 館長