二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (九)『雍州府志』カルタの総合的な読解 以上が、『雍州府志』の該当部分に関する私の読解である。これを全体として理解すれば、黒川は「読み」とともにトリック・テイキング・ゲームの「合せ」を説明していると理解できるし、その文章、文字使いには、上で指摘してきた小さな問題点はあるとしても、トリック・テイキング・ゲームとフィッシング・ゲームを取り違えるような大きな過誤は... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (八)「賀留多」第五文節、カルタ札を応用する「歌かるた」 『雍州府志』は次に「歌賀留多」とその遊技法にも触れている。「又賀留多札百枚、半五十札書古歌一首之上句、圍並床上中央残隙地、是謂地、又半五十枚書上歌之下句、是謂出(ダシ)、前所謂中央隙地出置所応手之下句一枚、圍座人各視之所在床上之上句與今所出置之下句、有相合者則取之、然後其所合取之札、筭多者為勝、筭少者為負、是稱歌(ウタ... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (七)「賀留多」第四文節、カルタ札を用いる博奕遊技法 賭博遊技カルタ(左:めくりカルタ、右:かぶカルタ、いずれも幕末期) 黒川は第四文節でさらに別の遊技法の説明に進み、「或又謂加宇、又謂比伊幾、或又謂宇牟須牟加留多、其法有若干畢竟博奕之戯也。」と書いた。「あるいはまたかうと言い、またひいきと言う。あるいはまたうんすんカルタと言う。その遊技法が若干あるが、ひっきょう、博奕の... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (六)「賀留多」第三文節、③遊技法「合せ」 合せカルタ遊技図(「カルタ遊びの図」、立命館大学蔵) 一方、「合せ」に関する「又互所得之札、合其紋之同者、其紋無相同者為負、是謂合(アハセ)、言合其紋之義也。」という記述はこう読める。「また、互いに得たところの札でその紋の同じものを合せ、その紋と相同じものがなければ負けとする。これを合せと言う。言うこころはその紋を合せ... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (五)「賀留多」第三文節、②遊技法「読み」 読みカルタ遊技図(「邸内遊楽図屏風」、サントリー美術館蔵) 『雍州府志』の記述は、次に遊技の方法に進む。そこでは、「読み」と「合せ」が紹介されている。読みではすべての札を配分した後、「其為戯謂打賀留多、然後人々所得之札數一二三次第早拂盡所持之札是為勝、是謂讀(ヨミ)、倭俗毎事筭之謂讀。」である。「その遊技をすることをカ... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (四)「賀留多」第三文節、①カルタ札の配分法 次が問題の第三の文節である。ここでは、二種類の遊技法を説明している。『雍州府志』は京都の名産品を紹介しているのだから、カルタの説明は第二文節で終わっても良かったのであるが、黒川道祐はしばしば脱線して名産品紹介以上のことを書き加えており、それは同書の社会史史料としての価値を飛躍的に高めている。この第三文節もそういう脱線の... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (三)「賀留多」第二文節、カルタ札の「紋標」と「紋標数」 続いて第二文節の「凡賀留多有四種紋、一種各十二枚通計四十八枚也、一種紋謂伊須、蛮國稱釼曰伊須波多、此紋形似釼、自一數至九、第十画法師之形是表僧形者也、第十一画騎馬人是表士者也、第十二画踞床之人是表庶人者也、一種紋稱波宇、蛮國稱青色曰波宇、此紋自一數至九数、第十第十一第十二同前、一種紋謂古津不、蛮國酒盃謂古津不、是表酒盃... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (二)「賀留多」第一文節、カルタ札の制作地、制作者、発祥 第一の文節、「賀留多 六條坊門製之、其良者稱三池、以金銀箔飾之者謂箔賀留多、是於繪草子屋造之、元阿蘭陀人玩之、長崎港土人倣之為戯。」である。『雍州府志』は京都の地誌であるので、まず、カルタの制作地が六條坊門(五條橋通)であることを述べ、一般のカルタのほかに、質の高い「三池カルタ」や金箔、銀箔を使う豪華な「箔カルタ」につ... 館長
二 『雍州府志』巻七、「賀留多」の解読 (一)『雍州府志』巻七、「賀留多」 「賀留多」(『雍州府志』、貞享三年) まず議論の基本的な骨組みの問題であるが、対象となるのは、『雍州府志』の中の「賀留多」に関する三百六十三文字の漢文である。研究室はそのサイトの開設当時から長期間にわたって、私が、カルタ史に関する論文や著作で、ここに登場する「合(アハセ)」(以下、『雍州府志』などでの「合」に仮名を付し... 館長