二 『雨中徒然草』が示す江戸時代中期の読みカルタ遊技
二 『雨中徒然草』が示す江戸時代中期の読みカルタ遊技の記事一覧
『雨中徒然草』は、次に賭金と計算の仕方に及ぶ。賭金は当事者間での取り決めで定まるが、標準的な例として示されたのは「一角勝負」つまり、一人の賭金額が一分になるものである。その場合、黒石が五十文として十八個、白石が五文として二十個配分される。合計すると一千文、つまり一分である。遊技では、参加者が四人として、一番ごとに各々が...
七枚の「金入り」札 (左より「アザ」「青三」「太鼓二」「青二」 「青キリ」「青馬」「釈迦十」、右端の札は除く) もう一箇所注意するべきなのは、同じ序文のやや後半の部分にある表現である。「正月、このかたちある繪を手にふれたる人は、神徳を得て七なんをのかれ、七ふくのくわにをふ。去によつて七まい金入と云。二に花かたを付、大こ...
読みカルタ遊技図 (プライス・コレクション、『江戸の遊戯』) 『雨中徒然草』は山口格太郎が市中で発見して滴翠美術館で所蔵し、その寛大な学術上の厚意で日本かるた館による研究に提供され、復刻と同人の佐藤要人による翻刻、解説の出版がなされたものである。これにより、読みカルタの研究は飛躍的に向上した。私が日本かるた館の会合に参...
『雨中徒然草』表紙 (近世風俗研究会、昭和五十年) 読みカルタの遊技法に関するまとまった史料が少ない事情は、江戸時代中期(1704~89)にまで引き継がれる。読みカルタの内容を詳細に説明した文献は、読みの遊技が最盛期を迎えていた明和七年(1770)に刊行された『雨中徒然草』まで待たねばならなかった。同書は、この時期の読...