三 読みカルタの約 (六)読みカルタ遊技での紋標「ハウ」の札の優遇 以上、『雨中徒然草』の解析を経て、江戸時代中期の読みカルタの実相を見ることができた。これまでの説明から、一定のイメージを持つことができたと思う。その際に、とても奇妙な一つの事実があることにも気付いたことと思う。すでに少し触れたように、紋標「ハウ」の札がとても優遇されていることである。遊技の勝敗に直結する役の形成において... 館長
三 読みカルタの約 (五)手札の偏りによる役 「五くるま」役は、配分された札の数字が繋がっている場合である。「五」「六」「七」「八」「九」「十」「馬」「キリ」の八枚にもう一枚あって九枚になる。これを「五」から出すと、「キリ」まで八枚連続で処理できる。そして、「キリ」を出した者は次に自分の好む数字の札から次の巡を始めてよいのがルールなので、手中の九枚目の札は何であっ... 館長
三 読みカルタの約 (四)一枚役、二枚役 以下は一枚役、二枚役である。 「野馬」(白絵に「青馬」)・打てあつかい。(説明文に「ただしをや出半あつかい」とある。) 「野切」(白絵に「青きり」)・一ツ(説明文に「打て竹四ツ、白絵ほうび」とある。) 弁てん(弁天)」(白絵に「あざ」)・三ツ、打て四ツ、ほうび」とある。) 「こゝく寺(護国寺)」(白絵に「釈迦十」)・三... 館長
三 読みカルタの約 (三)三枚以上で構成される役 『雨中徒然草』の役の表示はここまでがいわば複合役で得点が高い。以下は、基本は単役である。使われている札の関係で重複する場合も多かろうが、各々の役の役点を足したものが勝者の得点となる。以下、名称と札の構成、点数を紹介しておきたい。名称のいわれなどについては佐藤要人が詳しく説明しているように、江戸っ子らしい洒落が効いている... 館長
三 読みカルタの約 (二)「下三(しもざん)」役系 読みカルタの札の内、「はウ」つまり「青」の「一」「二」「三」は古くから重視され、金銀彩が施されて、「青二」「あざ」「青三」として「金入札」になった。下三役はこの三枚で構成される。『雨中徒然草』は七丁裏にこれを掲載している。「下三(しもざん)」(「青二」「あざ」「青三」)・白絵で三ツ、ゴミ入りで二ツ、である。 「下四光(... 館長
三 読みカルタの約 (一)「三光」系の役「四光」「五光」 役の紹介では、まず、金銀彩のある「金入札」に注目したい。これから紹介する百に近い役では、ごくわずかな例外を除いて、役を構成する札の中に必ず金入札が含まれる。金入札が最も多いのはすぐ下で紹介する「五光(ごこう)」であり、最も少ないのは、数札八枚の中にポツンと存在する「青馬」一枚の「野馬(のうま)」である。「青の切」一枚の... 館長