四 『雨中徒然草』の書物としての性格 (二)『雨中徒然草』は読みカルタ好きの書いた趣味本 以上、『雨中徒然草』と詳細に付き合ってみると、その正体が見えてくる。本書は、明和六年(1769)正月の「叙」と、翌明和七年(1770)正月の「跋」に挟まれた半紙版半裁二ツ折、横本、序九丁、本文三十丁、合計三十九丁の出版物である。どうやら、明和六年(1769)の正月に出版しようと準備したが不十分だったのか満足できなくて延... 館長
四 『雨中徒然草』の書物としての性格 (一)『雨中徒然草』は読みカルタ遊技の教則本か 以上から見える江戸時代の読みカルタ遊技の役は、すべての役に紋標「ハウ」、つまり「青」の金入札が絡まって構成されている。七枚の金入札は勝敗のカギであり、これが手中に入らなければとても不利、むしろ降りるべき展開である。「読みは絵の付き次第」という当時の遊技者の感想は至当なものである。次に、四枚以上の札で構成される複合役は別... 館長