五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (四)山路閑古の研究に学ぶ さて、こんな言い合いをいくら続けてもあまり意味はなかろう。要するに、一枚の版画が、図像そのものを見る私には合せカルタ遊技の場面に見え、周辺情報で理解する研究室には説明文の言う「よみがるた」は無条件に「読みカルタ」遊技を言うと理解され、したがって図像は「読みカルタ」の遊技場面に見えるというだけのことである。 私が言いたい... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (三)上部の狂歌が言う「よみかるた」は札か遊技法か そして、そもそもの出発点に戻るが、ここにある狂歌の二子(にこ)ゝゝと三子(さんこ)にちかきよみがるた 青二(あをに)ひねれば丸二(おかわ)なりけり」という言葉をどう理解するのか。研究室は狂歌の説明では「ご機嫌顔で『青二』を打ったところ、なんと『太鼓二(紋標オウルの二)』が出て来た…?」と書いている。他方で、図像の説明で... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (二)『繪本池の蛙』の画像は合せカルタ遊技の場面 そこでは、ページの上部に「二子(にこ)ゝゝと三子(さんこ)にちかきよみがるた 青二(あをに)ひねれば丸二(おかわ)なりけり」という狂歌があり、下部に、男二人、遊女らしい女二人で夜間にカルタ遊技を楽しむ場面が描かれている。場面は、右側の男が右手に四枚の札を持ち、女二人が右手ないし左手に五枚の札を持ち、そのうちの女一人がさ... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (一)宮武外骨がカルタ史研究に投じた好史料『繪本池の蛙』 大流行した読みカルタ遊技については、絵画史料も数多く残されており、研究の役に立つ。私は研究を始めた当初からそれを探し、そこに描かれている場面がどのような遊技法のどのような瞬間を捉えたものであるのかを解析してきた。当時私は、こういう私の研究手法を導いてくれる先達の業績を見つけることができなかった。ほぼすべての先行業績では... 館長