六 江戸時代後期の読みカルタ遊技 (二)取締り当局者の残す文献史料の効用と限界 『博奕仕方風聞書』は、賭博の取締り当局者が執務のために書き上げたものであり、記述された内容については寛政年間の賭博の実情を正確に描いたものとして信頼性が高く、カルタ史の研究者たちはほとんど史料批判を加えることなく活用してきた。だから私は、この報告書の執筆者を検討し、文書完成の時期を特定しようとした研究室の作業は高く評価... 館長
六 江戸時代後期の読みカルタ遊技 (一)寛政年間の『博奕仕方風聞書』が示す読みカルタ遊技 よみ仕方(『博奕仕方風聞書』) 江戸時代の読みカルタに関して重要視されている文献史料の一つが『博奕仕方風聞書』である。これは寛政七年(1795)に、江戸北町奉行所で市井の博奕犯罪の取り締まりに当たっていた臨時廻の数名が提出した各種の博奕の実状報告書であり、そこに、めくりカルタやかぶカルタとともに、読みカルタ賭博について... 館長