一 歴史から消えた「ことば遊びかるた」 (三)明治前期の「地口かるた」の実例 長谷川忠兵衛版「地口歌留多」は次のような内容である。この手の地口の実例を見ると、その駄洒落のオチが、分かったようでうまく説明できない、喉まで出ているのにというまだるっこしい思いに駆られる。それなのに、かるたの遊技はどんどん進行してゆく。あるいは、お祭りの地口行燈(あんどん)の見物では、足を止めるのも野暮ったい話で、歩け... 館長
一 歴史から消えた「ことば遊びかるた」 (二)斎藤月岑の記録した「いろは地口かるた」を振り返る 江戸時代の江戸に「いろは地口かるた」の遊技があった。少なくとも文化、文政期(1804~30)にはすでにあった。それはどんなものだったのであろうか。「いろは地口かるた」の遊技にかんする記録は見たことがないので、カードの内容を紹介しておきたい。 『翟巣漫筆』の「いろは地口」は次のような内容である。『翟巣漫筆』は読みにく... 館長
一 歴史から消えた「ことば遊びかるた」 (一)鈴木棠三、森田誠吾の「いろは地口かるた」見落とし 斎藤月岑自画像 この文章を、歴史から消えた一つの史料の復元に絡む個人的な研究過程の回顧から始めることをお許し頂きたい。江戸時代末期の文筆家、斎藤月岑(さいとうげっしん)の雑記帳『翟巣漫筆(てきそうまんぴつ)』の慶応二年(1866)の箇所にある記録は「いろはかるた」の歴史研究では最重要視されている文献史料である。ここには... 館長