一 麻雀牌が語る麻雀史への道 (二)麻雀古牌の蒐集 この調査の過程で、私の麻雀骨牌への関心も拡大した。麻雀は、1860年代に中国中部、長江の流域で馬弔(馬吊)紙牌から発展したものであるので、私にとっては研究対象である紙牌、カルタの亜種として研究対象でもあった。そこで、1980年代、90年代には、日本でも、出入りしていた骨董市などで珍しい麻雀牌を見つけると、訳も分からない... 館長
一 麻雀牌が語る麻雀史への道 (一)中国のカルタ、紙牌の発見 ここに掲載するのは、約二十年前に書いた文章が基になっている。当時私は、麻雀博物館の設立に関わり、日本の麻雀史の筋を通した史料の蒐集、展示の確立に向けて悪戦苦闘していた。その過程で書き残したものである。今回読み直して当時を思い出し、懐かしくもあったが、学識の不足は明らかで、大小さまざまな誤解と誤記に赤面の至りである。特に... 館長
MONOGRAPH 麻雀牌が語る麻雀史 Pinterest Instagram Facebook-f 年画(綿竹年画、三猴燙猪) ©2018 Japan Playing Card Museum... 館長
朝鮮の花札、「花闘」 五 プラスチック花札の時代 こうした事情は、1970年代以降に劇的に変化した。1965年の日韓基本条約の締結を境に日本の経済力に頼った「漢江の奇跡」と呼ばれるような経済の復興、高度成長の続いた韓国社会で、「花闘(ファトゥ)」は大いにもてはやされ、遊技の用具では、硬く、札に反りのないプラスチック製のカードが溢れ、紙製のものは姿を消した。遊技法では、... 館長
朝鮮の花札、「花闘」 四 第二次大戦後の朝鮮半島での花札 さて、朝鮮半島の「花闘(ファトゥ)」に戻ろう。第二次大戦後の朝鮮半島では「花闘(ファトゥ)」が盛んに用いられた。そこでは、用具としては、植民地当時に「移入」されたものの残品、日本からの密輸品、貿易再開後は輸入品もあったが、多くは自国内での国産品が用いられていた。朝鮮半島での花札の歴史に関心がある私としては、韓国と北朝鮮... 館長
朝鮮の花札、「花闘」 三 日本植民地時代の取締当局者による研究 金櫕根『朝鮮賭博要覧』、共榮社、大正十五年。 大正年間については、大正十五年(1926)に公刊された金櫕根著の『朝鮮賭博要覧』が著名である。この書では、「第一章賭博ノ種類」「第二章賭場開帳」に続いて、「第三章闘箋ヲ使用スル賭博」「第四章骨牌ヲ使用スル賭博」「第五章花札ヲ使用スル賭博」「第六章ユツヲ使用スル賭博」「第七章... 館長
朝鮮の花札、「花闘」 二 朝鮮半島での花札の普及、定着 二 朝鮮半島での花札の普及、定着 私はかつて、『ものと人間の文化史167 花札』で、「朝鮮花」について次のように書いた。多少の表記を改めたが、当時のままに再現しておきたい。 (五)大日本帝国の植民地経営における花札の活用 大日本帝国は活発に領域の拡大を追求して、大国になっていった。その際に対外膨張の最前線は、日本軍の軍... 館長
朝鮮の花札、「花闘」 一 「朝鮮花」(「花闘」)の発見 最近、ネット・ニュースにこんな記事があった(下線は私が付けた)。 東京都内で10月6日、シンポジウム「韓国『徴用工』問題の真実」が開かれた。注目は、韓国・落星台(ナクソンデ)経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究員が動画で講演したことだ。李氏は、国連で「朝鮮人が奴隷のように使われたという主張はまったくのウソ」と発表した人... 館長
南部カルタ、黒札及び花巻花札の歴史 おわりに 以上、太田孝太郎が残した南部カルタ版木の骨刷り十枚が与えてくれている研究課題に、私なりに応えて見た。もう何十年も前の学生だった頃の、ゼミでのレポートを準備するときのような高揚感と、裏返しの恐怖とがある。私の属した日本政治思想史のゼミの教師は変わり者で、一年間のゼミなのに、新学期の四月にゼミ生に課題を与えると、各自報告を... 館長
南部カルタ、黒札及び花巻花札の歴史 六 太田コレクションが投げかける課題 以上、十枚のカルタ版木の骨刷りを見ることで、何が新しく理解できたのか。これらの史料は、採取された場所や時間が判然としないという大きな弱点はあるし、太田が自分で個々に蒐集したのか、他の誰かが収取したものを一括して入手したのかもわかっていない。だから、ここでの観察の報告は、骨刷りの図像そのものから得られる感想に留まることに... 館長
南部カルタ、黒札及び花巻花札の歴史 五 南部花札(花巻花)の骨刷り五点 太田孝太郎編集の「張込帳」にある南部花札(花巻花)5点の版木刷り出しは次のものである。 南部花札版木骨刷り①(後刷り、制作者不明、幕末期) 南部花札①(岩手県立図書館蔵) 江戸時代後期 (1789~1854)に登場した木版の花札、「武蔵野」の様式に忠実なカルタである。細かい部分で正統の「武蔵野」の特徴をよくとらえている... 館長