(二)道斎かるたの前身「譬え合せかるた」

江戸中期譬え合せかるた(五十句かるた)

 

こうした「譬え合せかるた」の内容の変遷を示すために、その内容を比較しておきたい。

まず、江戸時代中期(1704~89)の手描き「譬え合せかるた」(五十句かるた)、正続二組、合計百対・二百枚のうち絵札か字札が残存する八十五句の内容は次のようなものである。

「いわしのあたまも」(鰯の頭も信心から)

「石わらやくはん」(石原薬鑵引摺る)

「石うすを」(石臼を箸にさす)

「石の上にも」(石の上にも三年)

「六十のむしろ」(六十の筵やぶり)

「八十の」(八十の手習)

「はなはみよしの」(花は三芳野人は武士)

「人ぎやうにも」(人形にも衣裳)

「ほとけのかほも」(佛の顔も三度)

「ぼうずに」(坊主に経)

「鳥なきさとの」(鳥なき里の蝙蝠)

「とうだいもと」(燈臺下暗し)

「とうらうがおの」(蟷螂が斧)

「唐人の」(唐人の寝言)

「どくなめたら」(毒舐めたら皿まで)

「とびが」(鳶が鷹生む)

「てうちんに」(提灯に釣鐘)

「ぬかぬ太刀の」(抜かぬ太刀の功名)

「ぬす人のひるねも」(盗人の昼寝も當がある)

「男は七人の」(男は七人の敵あり)

「をんやうし」(陰陽師躬の上知らず)

「われなべに」(破鍋にとじ蓋)

「わらたばねても」(藁束ねても男は男)

「わらやのあめは」(藁屋の雨は外に出て聴け)

「わらふ門には」(笑う門には福来る)

「かわいい子には」(可愛い子には旅をさせ)

「金がかね」(金が金を儲ける)

「かれ木も」(枯れ木も山の賑わい)

「かつてかぶとの」(勝って兜の緒をしめよ)

「かぶらから」(蕪から菜種まで)

「かじんは」(歌人は居ながら名所を知る)

「がんがとべば」(雁が飛べば石亀も地團駄)

「よい中に」(好い中に垣をせよ)

「たいかいを」(大海を手で塞ぐ)

「大仏のはしら」(大佛の柱を蟻がせせる)

「大名の」(大名の火にくばる)

「たていたに」(立板に水)

「れん木で」(れん木で腹切る)

「つちでにわ」(槌で庭掃く)

「つるの一ト声」(鶴の一ト声)

「月夜にかま」(月夜に釜を抜かれる)

「ねこに」(猫に小判)

「ねずみの」(鼠の塩を引く)

「むかふししに」(向う猪に矢立たず)

「むまの耳に」(馬の耳に風)

「うぢなふて」(氏無ふて乗る玉の輿)

「うりのつるに」(瓜の蔓に茄子はならぬ)

「うまいものは」(うまいものは宵に食え))

「のふれんに」(暖簾にもたれる)

「のみといわば」(鑿と言はば槌)

「おにのこぬまに」(鬼の来ぬ間に洗濯)

「おにも」(鬼も十八番茶も出花)

「おふた子に」(負うた子に教えられて浅瀬を渡る)

「同じ穴の」(同じ穴の狐)

「くわほうは」(果報は寝て待て)

「くさつても」(腐っても鯛)

「やみに」(闇に鉄砲)

「けんくは過ての」(喧嘩過ぎての棒乳切木)

「武士はくはねど」(武士は食はねど高楊枝)

「子をすてるやぶはあれど」(子を捨てる藪はあれど身を捨てる藪はなし)

「これにこりよ」(是に懲りよ道斎坊)

「こうぼうも」(弘法も筆の誤り)

「古きやうへは」(古郷へは錦を着て帰る)

「えてにほ」(得手に帆をあげる)

「有袖はふれど」(ある袖は振れどない袖は振られぬ)

「あさにつるゝ」(麻につるる蓬)

「あしもとから」(足下から鳥が立つ)

「さるに」(猿に烏帽子)

「さかに車」(坂に車)

「さらに」(皿に桃盛る)

「さけがさけ」(酒が酒を呑む)

「さんにんよれば」(三人寄れば文殊の智恵)

「木に竹」(木に竹をつぐ)

「めくらへびに」(盲蛇に怖じず)

「しやくしを」(杓子を定規にする)

「朱にまじわれば」(朱に交はれば赤くなる)

「しんあれは」(信あれば徳あり)

「ゑんかうが」(猿猴が月を捕る)

「ゑんの下の」(縁の下の舞)

「ひとりうつ」(一人打つ鼓は鳴りがせぬ)

「ひざかしらて」(膝頭で江戸へ行く)

「もちは」(餅は餅屋)

「ぜんの上の」(膳の上の箸)

「すいが」(粋が身sを食う)

「雀百まで」(雀百まで踊り忘れぬ)