『雨中徒然草』の役の表示はここまでがいわば複合役で得点が高い。以下は、基本は単役である。使われている札の関係で重複する場合も多かろうが、各々の役の役点を足したものが勝者の得点となる。以下、名称と札の構成、点数を紹介しておきたい。名称のいわれなどについては佐藤要人が詳しく説明しているように、江戸っ子らしい洒落が効いている。それを謎解きの様に考えるのも楽しみの一つである。

團十郎
「團十郎」(『雨中徒然草』)

「團十郎」(「青二」「釈迦十」「あざ」)・五ツ(別の箇所にゴミ入りは四ツとする記述もある)。

「竹つな」(「あざ」「太鼓二」「釈迦十」)・四ツ(ゴミ入りは三ツか)

「ねはん(涅槃)」(「青二」「太鼓二」「青きり」「青馬」「あざ」)・ゴミ入りであつかい(ゴミ入りしかない役。この役は十丁表に表示されている五光役の構成札ではそこに含まれることになるが、五光役の説明では登場しなかった。「ねはん」役では「青二」と「太鼓二」がともに含まれることがポイントであり、五光役は「青二」か「太鼓二」かのいずれかで役になっているので両方が含まれることはなく、したがって「ねはん」役は付かないと理解すると納得できる。ただし、この役の説明文に「此『太皷の二』なくてもよし」とある。「太鼓二」がなければ「五光」役の構成札となり、「ゴミ五光」役の点数計算に加えられなければ一貫しないが、そうなっていない。「此『太皷の二』なくてもよし」は太楽先生の勘違いであろう。)

「三五九一(三国一)」(「青三」「青五」「青九」「あざ」)・打てあつかい(青の三、五、九、一であるから語呂合わせそのものである。)

「三ごくてんらい(三国伝来)」(「青三」「青五」「青九」「あざ」「釈迦十」)・五ツ、打あつかい(三国一に「釈迦十」を付けて仏教の伝来になっている。)

「五せつく(五節句)」(白絵に「あざ」「青三」「青五」「青七」「青九」)・*(点数表示なし。二十三丁表から移した。なお、三国一役が白絵の場合は五節句役と重なる。三国伝来役は「釈迦十」があるのでゴミ入りになって五節句役は不成立。また、説明文に「これへ八入てたなはた八さく(七夕八朔)と云。二やく外に取」という。この役を成立させる「八」は「青八」に限定されるのであろう。)

「おふとう(お不動)」(「青馬」「オウルの馬」「コップの馬」「青きり」)・*(点数表示なし。なお、「青馬」「コップの馬」「オウルの馬」と揃えば「馬の揃(うまのそろ)」で役である。「相馬(そううま)」役にもなる。「馬」が三枚あれば、ゲーム開始前に「馬崩し(うまくずし)」役を宣言して役点を得たうえで撒き直しの不戦勝にできるが、二十七丁表の馬くずし役の説明には「尤切有てはくすしにならす」とある。お不動役には「青きり」があるので馬崩し役はできない。)

「かうし町(麹町)」(「釈迦十」「コップの十」「オウルの十」「青きり」)・*(点数表示なし。このあたりに紹介するべきところ、太楽先生は書き忘れて後に十七丁表で追加した。ここに移す。)

「天上(てんじよう)」(「青きり」「釈迦十」「あざ」)・白絵で三ツ、ゴミ入りで二ツ。

「こんてい(金泥)」(「青馬」「釈迦十」「あざ」)・白絵で三ツ、ゴミ入りで二ツ。

「上三(かみざん)」(「釈迦十」「青きり」「青馬」)・白絵で三ツ、ゴミ入りで二ツ。

「下三(しもざん)」(「青二」「あざ」「青三」)・白絵で三ツ、ゴミ入りで二ツ。

「中三(なかざん)」(「太鼓二」「あざ」「青三」)・白絵で二ツ、ゴミ入りで一点。(説明文に、「此ゑの外に四入レは中四、五入レは中五、下五光に同、尤石一ツましに取」とある。「中四(なかし)」役、「中五(なかご)」役、「中六(なかろく)」役が想定される。また、この役の札の構成は名称から受ける印象とは違う。上三、下三の区別からすると、中三は「青四」「青五」「青の六」、あるいは「青四」「青五」「青の六」などで構成される様に考えられるが、これらの組み合わせでは金入札が一枚も含まれないので役の基本原則に反して役になり得ない。)

「へに三(紅三)」(「エビ二」「あざ」「青三」)・白絵で二ツ、ゴミ入りで一点。(説明文に「中三に同じ心なり」とある。そうすると「紅四(べにし)」役、「紅五(べにご)」役などが想定できる。)

「ゑひそう(海老蔵)」(「エビ二」「釈迦十」「あざ」)・白絵で四ツ、ゴミ入りで三ツ。

「惣十郎」(白絵に「釈迦十」「コップの十」「オウルの十」)・出て四ツ、打てあつかい。(この役と「麹町」役が重なるように見えるが、麹町役には「青きり」があるのでゴミ入りになり、白絵の場合に限る惣十郎役を兼ねることにならない。)

「さいきやう(西行)」(「釈迦十」「あざ」「コップの十」)・一ツ、打て五のほうび。説明文に「おきやくとも云」とある。

「につけ馬(荷着馬)」(「青馬」「あざ」「青二」)・白絵で二ツ、ゴミ入りで一ツ。

「しゝ(獅子)」(「青二」「あざ」「太鼓二」)・一ツ。

「てんてん(でんでん)」(「青二」「太鼓二」釈迦十))・一ツ

「ち鳥(千鳥)」(白絵に「青馬」「あざ」「コップの馬」)・白ゑに一ツ

「よりまさ(頼政)」(白絵に「青馬」「釈迦十」「オウルの馬」)・白ゑに一ツ

「源平(げんぺい)」(「青きり」「あざ」「オウルのキリ」)・*(点数表示なし。説明文に「かけきよ(景清)、だいみやう(大名)、はた本(旗本)共いふ」とある。なお、佐藤要人は「青きり」「あざ」「オウルの馬」の三枚とするが、「オウルのキリ」のミス。)

「せんかく寺(泉岳寺)」(「青きり」「コップのキリ」「オウルのキリ)・*(点数表示なし。説明文に「まさむね(正宗)とも云。釈迦十入れてはせんかく寺のおしやうといふ。」とある。)

「きく五郎(菊五郎)」(「釈迦十」「青五」「あざ」)・*(点数表示なし。) 

「じんめい(神明)」(「コップのピン」「青馬」「オウルのピン」)・*(点数表示なし。説明文に「両くち(両口)共云。ひん一まへあれはかたくち(片口)といふ」とある。)

「相馬」(「青馬」「オウルの馬」「コップの馬」)・*(点数表示なし。)

「ささき(佐々木)」(「青馬」「青きり」「オウルの馬)・*(点数表示なし。説明文に「かち原(梶原)共云」とある。)

「市まつ(市松)」(「釈迦十」「青三」「あざ」)・*(点数表示なし。)

「きく次郎(菊次郎)」(「青馬」「青きり」「あざ」)・*(点数表示なし。)

「龍のひけ(龍の髭)」(「オウルの一」「コップの一」「青二」)・*(点数表示なし。)

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