二 火消の家系に伝わった遊技札「ガラ札」 (二)江戸後期、明治前期の「百貨合せかるた」 「ガラ札」が世に残ったのはこのように山口、神 保の功績であるが、しかし、その紹介のあり方には残念だが問題があった。「ガラ札」は、江戸時代中期、後期の社会に溢れていた膨大な種類の「絵合せかるた」の中でごく一部のものにすぎなく、後世の好事家はたまたまそれが残存していたという事情を過大評価している。だが、私は、幸いなことに、... 館長
二 火消の家系に伝わった遊技札「ガラ札」 (一)東京の地方札、「ガラ札」の発見 従来の研究では、「絵合せかるた」の中では、江戸の火消しが待機中に遊んだかるた、「ガラ札」が妙に有名であった。発端は山口吉郎兵衛の『うんすんかるた』である。ここで山口は、蒐集した幕末期から明治前期の「ガラ札」(別名「ピイ」「天窓」)を紹介し、それが絵札百三十枚(あるいは百四十枚)と同数のクジで構成されていること、絵札の図... 館長