カルタ遊技の現代を特徴付けるもう一つの大きな特徴は、コンピュータ技術を駆使したデジタル・ゲームとの競合である。それは昭和後期(1945~89)に始まり、平成期(1989~2019)にコンピュータ技術の急速な発展によってテレビ・ゲーム、家庭用ゲーム機を使ったゲーム、パソコンでサイトと繋がるパソコン・ゲーム、そしてスマートホンを使ったスマホ・ゲームへと拡大して発展した。そこに出現したのは、ゲームと呼ばれていても伝統的な遊技(ゲーム)の概念からはみ出す遊戯(プレイ)であった。

その後に登場したコンピュータ技術を駆使したデジタル・ゲームはまったく新しい遊戯(プレイ)であった。デジタル・ゲームの最大の特徴は、対戦型のアナログなカード・ゲームと違って、一人遊びの遊戯として成立していることである。ここにも対戦型のゲームというプログラムはあるが、それはプログラムを制作した者との対戦、いや、その人の作ったプログラムとの遊戯(プレイ)であり、それが人との対戦、遊技(ゲーム)であるかのように装われているのである。今日、インターネット上には多数の対戦ゲームのサイトが成立しているが、それが人と人との遊技(ゲーム)として真正に成立していることは保証できていないものが多い。

もうひとつ、対戦型の遊技(ゲーム)の基本的な性格の一つは、決断して手を進めたときには後戻り、やり直しが利かないという選択行為にある。これがデジタル・ゲームの場合は、リセットすれば簡単にやり直しができる。そして、ゲーム機での遊戯にも規則はあるが、それはプログラムの制作者が一方的に決めて遊戯者はそれに従って遊戯を進めることが求められるものであり、リセットとやり直しの繰り返しの中でその規則に穴を見つけて「裏技」を構築することができた。だが、こういう行為は、アナログな遊技(ゲーム)ではルール違反として非難される。ここにも遊技とデジタル・ゲームの違いがある。

 デジタル・ゲームには、コンピュータ時代の遊技のあり方への大きなチャンスがあるが、現在はまだ発展途上であり、今後の展開が待たれるところである。

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