江戸時代の読みカルタに関して重要視されている文献史料の一つが『博奕仕方風聞書』である。これは寛政七年(1795)に、江戸北町奉行所で市井の博奕犯罪の取り締まりに当たっていた臨時廻の数名が提出した各種の博奕の実状報告書であり、そこに、めくりカルタやかぶカルタとともに、読みカルタ賭博について扱われているのである。それは次のような内容である。短文なので全文を紹介したい。
「一 よみ仕方
かるた三十七枚、めくりかるた四拾八枚之内、赤繪札十二枚を除。
一 手合四人一人江九枚つゝ蒔附置、残り札を「死繪」と唱除置候事。
一 銘々手に持候札を一二三四五六と順に、手に持候札打仕廻候方勝に合成申候。
縦令ば一二と手より下し、三の札無之候得ば次のもの江相廻し、三四と次にて打五の札無之候得又次之者江廻し、次のもの親の手にも五の札無之候得ば、三四と打候もの之方江戻り、八九十と手札打切候得ば上り申候事
一 勝負銭取遣り之定め、五下タと唱、五より下の札にて打限り勝候ものは何文宛取候事、五より上の札を六にて上り候得ば六文、七にて上り候得ば七文取候、右に准じ取遣仕候事。