二 『百人一首手鑑』、『百人一首画帖』発祥の歴史 (三)「百人一首歌合せかるた」の世界での女性書家、女性絵師の活躍 日本の文化史を振り返ってみると、平安時代は王朝文化の中で女性がもっとも活躍した時期として特徴づけられる。紫式部や清少納言をはじめ、多くの女性の活躍が長く伝えられている。そして、それに次いだのが安土桃山時代と江戸時代初期であった。この時代にも、戦国時代の混乱と悲劇を乗り切った多くの女性が自立して活躍し、その名前が歴史に残... 館長
二 『百人一首手鑑』、『百人一首画帖』発祥の歴史 (二)百人一首画帖(歌仙手鑑)の発祥 百人一首画帖(歌仙手鑑)の歴史を大きくとらえれば、⓪江戸時代初期(1603~52)に、世阿弥光悦の書と土佐派の絵師による歌人画の下絵になる『光悦三十六歌仙』版本と角倉素庵の書に同じく土佐派の絵師の『光悦三十六歌仙』とよく似た歌人画を添えた『素庵三十六歌仙』版本が成立した。①これとほぼ同時期の寛永年間(1624~1644... 館長
二 『百人一首手鑑』、『百人一首画帖』発祥の歴史 (一)歌仙手鑑の手本は『素庵百人一首』 百人一首の「歌仙手鑑」が登場するには、歌人像のモデルが必要であった。それは『素庵百人一首』や『尊圓百人一首』に掲載された図像であった。『素庵百人一首』は刊年が不明で一応寛永年間(1624~44)と推測されている。版を重ねて複数の種類の版がある。名筆の誉れも高かった角倉素庵の筆跡を版本にしたものであり、それには鷹峯工芸の... 館長