一 花札、トランプの解禁 (二)花札合法化の定着 上方屋銀座店は大きな反響を呼び、花札の販売が公許されたことが明白になった。前田はさらに同年五月二日からは、それまでは自身も禁止の品と言っていた「めくりカルタ」も売り出し、十二月には銀座店の店頭に巨大な賽ころの看板を出し、翌明治二十年(1887)一月には賭博用の賽ころも販売するようになった。当時の常識としては、花札は一般... 館長
一 花札、トランプの解禁 (一)花札の公然の販売‥‥「上方屋」の挑戦 明治十九年(1886)の春、東京の銀座に花札を販売する店舗「上方屋」が出現した。当時は、花札の売買は禁止という観念が強かったので、これは奇想天外の出来事とされ、世間は大いに驚いた。これを敢行したのは、大阪市の心斎橋通塩町角に店舗を構えて手広く商売をしていた絵草子屋「綿屋」の当主、「綿喜」こと綿屋喜兵衛、本名前田喜兵衛で... 館長