二 地方花札の盛行 (五)備前花札と阿波花札 越後花と備前花 (右:越後花、左:備前花、 任天堂製品ポスター、明治後期) 最後に、備前花札と阿波花札(金時花札)について一言しておこう。備前花札は任天堂の製品一覧にも登場する地方花札であり、岡山県の現地でも制作された。岡山県では岡山市に「三木」というカルタ屋があったと伝承されているが、現地の人の話では、若山牧水の門下... 館長
二 地方花札の盛行 (四)北海花札 もう一つ興味深いのが北海道の花札である。この地方に独特の遊技法「トッパ(十八)」については平成年間(1989~2018)に何人かによって紹介されており、それが炭鉱や漁港だけでなく、アイヌの人々を含む道内の各地で広く行われていたことが明らかになった。 北海花札は、明治前期(1868~87)の開拓時代に北海道で使われていた... 館長
二 地方花札の盛行 (三)図像から古歌を廃した関東花札 関東花札での和歌の消滅 もう一点取り上げたいのは「関東花札」である。これは幕末、明治前期(1854~87)に関東地方に存在した花札であるが、史料不足が災いして、これまではほとんど注目されてこなかった。私も説明をちゅうちょしてきた。これからやや詳細に説明しておこう。 まず、この地方花札の基本的な特徴を指摘すると、①木版花... 館長
二 地方花札の盛行 (二)「武蔵野」の模写、越後花札 雨中を走る男の図像の変化 全国各地の地方花札を見ると、越後花札、越後花札、山形花札、北海花札にはカス札上に古歌が記されている。柳の札は雨中を走る男である。これは、江戸時代の「武蔵野」の図像の特徴であり、地方花札が幕末期(1854~67)ないし明治前期(1868~87)に京都、大坂製の「武蔵野」を模倣して制作された事情を... 館長
二 地方花札の盛行 (一)歴史の古い花巻花札 もう一点補足したいのは、地方製の花札である。江戸時代には、賭博系のカルタは、西日本の「合せカルタ」や「かぶカルタ」にしても、東日本の「めくりカルタ」にしても、京都のカルタ屋の制作するカルタ札が良質で全国各地で使われていたが、江戸時代後期(1789~1854)、幕末期(1854~67)になると制作技術が拡散し、活発な需要... 館長