三 「めくりカルタ」の流行 (三)「めくりカルタ」の流行と芸者の嘆き めくりカルタ遊技図(『下手癖永物語』、天明三年) 山東京伝の『寓骨牌』よりも少し早く天明三年(1783)刊の井久治茂内作の黄表紙『下手癖永物語』も京伝の作品に匹敵するめくりカルタ趣向の傑作である。「太鼓の二」と「おキリ」が駆け落ちしたところ、「おキリ」に懸想していた「アザ」が立腹し、「青二」「釈迦十」「青九」「青八」ら... 館長
三 「めくりカルタ」の流行 (二)『花の春上手談義』は「めくり」遊技図か めくりカルタ遊技図(『花の春上手談義』) 天明二年(1782)に市場通笑作、鳥居清長画の『花の春上手談義』(研究室の表記では単純に『上手談義』)が出版されている。内容は善心坊という僧が説話をして「思ひのほかの大入」になったが、最後に不始末をして「百日の説法屁一つ」で終わるという笑い話を挿画付きで面白く展開するものである... 館長
三 「めくりカルタ」の流行 (一)山東京伝は「めくりカルタ」好き めくりカルタ遊技図(『お花半七開帳利益札遊合』、安永三年) この時期に江戸で活躍していたのが戯作者の山東京伝である。京伝もめくりカルタが大好きで、デビュー作と思われる安永七年(1778)刊の『お花半七開帳利益札遊合』からして『咲分論』の真似をしてめくりカルタをもじった作品であり、そのめくりカルタ好きが趣向になって全面的... 館長