一方、「明治期譬え合せかるた」では、残存する七十四句の内容は次のようなものである。ただし、欠けている部分は、昭和後期の山城屋版「道斎かるた」で補った。
「譬え合せかるた」(明治年間、制作者不明)
「犬もあるけは(一)」(犬も歩けば棒にあたる)
「鰯のあたまも(一)」(鰯の頭も信心から)
「いつも(十)」(いつも正月)
「論語読の(二)」(論語読みの論語知らず)
「八十の(一)」(八十の手習い)
「花はみよしの(十)」(花は三芳野人は武士)
「早うしも(二)」(早牛も淀遅牛も淀)
「仏の顔も(四)」(仏の顔も三度)
「へたなまとにも(一)」(下手な的にも中る矢はある)
「蟷螂が(十五)」(蟷螂が斧を以て隆車に向かう)
「とうだい(一)」(燈台下暗し)
「唐人の寝言(一)」(唐人の寝言)
「とびが(五)」(鳶が鷹を生む)
「ちやうちんに(一)」(提灯に釣鐘)
「ぬかに(一)」(糠に釘)
「ぬかん太刀の(二)」(抜かぬ太刀の功名)
「ぬれ手で(点数なし)」(濡れ手で粟)
「盗人の(点数なし)」(盗人の昼寝も当がある)
「鬼も十八(点数なし)」(鬼も十八番茶も出花)
「同じ穴の(点数なし)」(同じ穴の狐)
「陰陽師(一)」(陰陽師身の上知らず)
「笑ふ門には(八)」(笑う門には福来る)
「かには(一)」(蟹は甲に似せて穴を掘る)
「金がかね(六)」(金が金を儲ける)
「勝て兜の(四)」(勝って兜の緒を締めよ)
「歌人は(十五)」(歌人は居ながら名所を知る)
「かひるのつらに(一)」(蛙の面へ水)
「雁がとべは(四)」(雁が飛べば石亀も地団駄)
「勘定あふて(一)」(勘定合うて銭足らず)
「よい中に(一)」(好い中には垣をせよ)
「大佛の(二)」(大佛の柱を蟻がせせる)
「大名の火くばり(二)」(大名の火にくばる)
「玉みがゝざれば(六)」(玉磨かざれば宝とならず)
「竹の先に(一)」(竹の先に鈴をつけたよう)
「立板に(一)」(立板に水)
「短気は(二)」(短気は損気)
「袖の(四)」(袖の振合うも他生の縁)
「鶴の子(四)」(鶴の子は鶴になる?)
「月夜に(絵札欠)」(月夜に釜をぬかれる)
「ねこに(一)」(猫に小判)
「泣ツつらに(一)」(泣き面に蜂)
「なす時の(八)」(済す時の閻魔顔)
「向ふ猪には(四)」(向う猪には矢立たず)
「うりのつるには(五)」(瓜の蔓に茄子はならぬ)
「馬の耳に(二)」(馬の耳に風)
「氏のふて乗る(四)」(氏のふて乗る玉の輿)
「のらの(六)」(のらの節句働き)
「のみと言はゞ(一)」(鑿と言はば槌)
「くらがりから(二)」(暗がりから牛を引き出す)
「くさつても(二)」(腐っても鯛)
「やみに(絵札欠)」(闇に鉄砲)
「下駄の(一)」(下駄の後ろの良く減る者は親不孝)
「けつこう(十五)」(結構真赤)
「御用(三十)」(御用の銘茶のよう)
「是にこりよ(三十)」(是に懲りよ道斎坊)
「弘法も(絵札欠)」(弘法も筆の誤り)
「古郷へは(二)」(古郷へは錦を着て帰る)
「こんやの(一)」(紺屋の明後日)
「えてに(二)」(得手に帆を上ぐる)
「あかけりや(一)」(明けりゃ月夜)
「朝日(十)」(朝日に霜)
「あみだも(二)」(阿弥陀も銭ほど光る)
「さらに(一)」(皿に桃盛る)
「三人よれは(一)」(三人よれば文殊の智恵)
「三番叟(六)」(三番叟を踏む)
「ゆうれいの(点数なし)」(幽霊の浜風)
「じやの道は(一)」(蛇の道はへび)
「信あれは(二)」(信あれば徳あり)
「ゑんの下のまひ(六)」(縁の下の舞)
「人は一代(八)」(人は一代名は末代)
「ひざがしらで(五)」(膝頭で江戸へ行く)
「もちは(六)」(餅は餅屋)
「膳の上に(二)」(膳の上の箸)
「すつぽんと(絵札欠)」(すっぽんとお月様)