7 おわりに 八 「大人のかるた文化考」について 平成三十年(2018)十二月にこのウェブを一応完成したが、その後、いくつかの進展があってさらに補完した。作業に手間取ったので、平成年間(1989~2019)に完成させるという予定が実現できず、令和初年(2019)に入ってしまった。 かるた史研究のうえで特に重要な進展は、平成三十一年(2019)正月に起きた、百人一首歌合... 館長
7 おわりに 七 江戸時代のかるた史は夢のまた夢 己のコレクション自慢を始めると際限がないのでやめるが、百人一首かるたの「諸卿寄合書かるた」にだけは一言触れておきたい。このかるたを入手したのは昭和五十九年(1984)のことであるが、それをきっかけに百人一首かるた史の研究を深め、その発祥期を物語る「古型百人一首かるた」という類型の抽出に成功し、さらに研究を深めて、元禄年... 館長
7 おわりに 六 デジタルな研究手法を選んだ趣旨 さて、今回、このウェブサイトの立ち上げでは、なぜプリント・メディアでの発表ができるのにそれをしないのかを人にも問われたし、自分でも自問自答を繰り返してきた。査読のないウェブサイトは、従来のプリント・メディア中心の学術社会では落書き程度にしか扱われていないのであるから、なぜ好んでそこに沈潜するのか。私の考えは単純で、今の... 館長
7 おわりに 五 同時代のかるた史研究者に接する姿勢 私は、今回の執筆でも無遠慮な姿勢をすべての先人、同時代の研究者に対して貫いている。私の著作を読んだ周辺の知人、友人には、この人やあの人がそんなに嫌いなのかという冷やかしを述べる人もいる。だがもちろんこれは好き嫌いの問題ではない。誤解のないように、同時代人に対する私の批判の趣旨を明らかにしておこう。 私は、同時代人の研究... 館長
7 おわりに 四 先人の学説の継受と批判 この半世紀に近い長い期間のかるた史研究で、私は実に多くの先人の業績に学んできた。とりわけ、かるた史を、文献史料と物品史料を併用して駆使して構築する手法は、山口吉郎兵衛の『うんすんかるた』に学んだ。中世末期以降の地方文化史の文脈の中でカルタ遊技史を理解して構築することはシルビア・マンから学んだ。誰一人疑うことのなかった新... 館長
7 おわりに 三 日本での遊技史研究者との交流 私は昭和四十九年(1974)に日本に帰国した際に、すでに国際カード協会の会員であった兵庫県芦屋市の山口格太郎を訪ねて挨拶とともに教えを乞い、その縁で「日本かるた館」の会合にも参加するようになった。その時期はちょうど日本でもカルタ・かるた史研究が盛んになっていて、山口格太郎、森田誠吾、村井省三、佐藤要人らの活躍が目立って... 館長
7 おわりに 二 欧米のカルタ史研究者との交流 こうして、過去数十年の研究の成果をまとめてみて、改めて、多くの人々、多くの史料との幸運な出会いを実感している。私がかるたに最初に学術的な興味を感じたのは、昭和四十八年(1973)、法政大学から法律学の在外研修でイギリス、ロンドン市のロンドン大学高等法学院に派遣された三十一歳の時であった。私はロンドン市内のデパート、ハロ... 館長
7 おわりに 一 アナログな研究手法とデジタルな研究手法 平成三十年(2018)六月にこのウェブサイトを立ち上げてから六か月たった。準備に手を着けた時期からするとほぼ丸一年経過している。江戸時代の日本は世界に冠たるかるた遊技の王国であり、江戸がそのセンターであるという私の歴史認識を全面的に展開できたという達成感がある。ただ、ウェブサイトの構築は予想以上に大変な作業量で、著書数... 館長