一 「絵合せかるた」の発祥 (五)「舞台芸能絵合せかるた」の研究 絵合せカルタ史の研究で次に生じたのは、絵画史料を駆使する江戸時代の狂言史の研究者、藤岡道子と私による「狂言かるた」の研究である。この研究では、福岡県大牟田市の市立三池カルタ・歴史資料館蔵の「狂言かるた」が活用された。藤岡は以前からこれの研究に関心を示していたが、肝心のかるた札で利用できるものに恵まれず、わずかに以前に京... 館長
一 「絵合せかるた」の発祥 (四)「譬えかるた」史研究の進展 絵合せかるたに関する山口吉郎兵衛の研究を継いだのは息子の山口格太郎である。山口格太郎は、昭和四十年代(1965~74)以降に、雑誌のかるた特集号などで日本のかるたの歴史について簡単な解説文を書くことが何回かあり、その際には、父親に倣って、外来のカルタ、歌かるた、いろはかるたと進み、末尾で絵合せかるたに言及するのが常であ... 館長
一 「絵合せかるた」の発祥 (三)早々に消えた「武者絵合せかるた」 女武者絵かるた (滴翠美術館蔵、『季刊銀花13号』) こうした絵合せかるたの中で特別の関心を呼ぶのは「武者合せかるた」である。山口吉郎兵衛の『うんすんかるた』には、慶安年間(1648~52)頃の「女武者絵カルタ」断片三十九枚と元禄年間(1688~1704)の「唐土武者絵合せカルタ」五十対・百枚が挙げられており、他に、大... 館長
一 「絵合せかるた」の発祥 (二)「絵合せかるた」の研究史 御船印絵合せカルタ(東京国立博物館蔵、 『日本の美術32遊戯具』、江戸時代前期) 絵合せかるたについては、研究の蓄積が乏しい。山口吉郎兵衛の『うんすんかるた』は、まず「外来カルタ」を扱い、次いで「貝覆・貝覆系統カルタ」を扱った。後者の「貝覆・貝覆系統カルタ」では、さらに細分化され、「貝覆」「歌貝」「歌カルタ」「絵合カル... 館長
一 「絵合せかるた」の発祥 (一)『雍州府志』が書き漏らした「絵合せかるた」 江戸時代前期(1652~1704)の基本文献、『雍州府志』を読んで困惑する一つのポイントは、それが江戸時代初期(1603~52)、前期(1652~1704)に京都を中心に盛んに用いられていた「絵合せかるた」の札の制作、販売にも、その遊技法にも言及していないことである。私は、江戸時代初期(1603~52)から盛んに用いら... 館長