4-1 江戸はかるたの王国①「芝居遊びかるた」 六 おわりに 以上、とりあえず、何点かの実例をもって「芝居遊びかるた」の存在を疎明できたと思う。従来、かるたに芝居の絵や言葉が登場すると、俗な解説者からそれは「いろは譬え合せかるた」の「亜流」で芝居を画材にしたバリエーションに過ぎないと説明されてしまい、芝居遊びのかるたというジャンル、グループは認識されてこなかった。だが、それは遊技... 館長
4-1 江戸はかるたの王国①「芝居遊びかるた」 三 「絵合せかるた」の誕生と発達 松井頼重『毛吹草』 (正保二年) 「絵合せかるた」は江戸時代の初めに日本に現れた純粋に日本式のかるたである。これを伝えている現存最古の文献は正保二年(1645)刊の松江賴重『毛吹草』であり、巻三の「繪合(ゑあはせ)」の項に「貝遊(かいあそび)、賀留多(かるた)遊、扇(あふぎ)」とある。この時期の「絵合せかるた」の形状に... 館長
4-1 江戸はかるたの王国①「芝居遊びかるた」 二 「絵合せかるた」の研究史 「絵合せかるた」については、山口吉郎兵衛以降にはあまり研究の進展が見られなかった。さまざまな古いかるたが発見され、時には古書店や骨董市をにぎわせはしたが、それを構造的に理解して、各時代の遊技文化史の中に位置づける作業がほとんど見られなかった。「源氏歌かるた」については円地文子、山口格太郎による研究があり、子ども向けの「... 館長
4-1 江戸はかるたの王国①「芝居遊びかるた」 一 江戸時代後期の「絵合せかるた」類 江戸時代後期(1789~1854)には、「いろは譬え合せかるた」の外にも、「字札」を「読み札」として、「絵札」を「取り札」として使う「絵合せかるた」の遊技が盛んであった。山口吉郎兵衛の著書『うんすんかるた』や集古會の機関誌「集古」に掲載された展示会記録にも「鳥類合せカルタ」「野菜青物尽絵合せカルタ」「士農工商器材尽絵合... 館長