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(一)トランプ類税法の廃止と自由なカルタ札作り

平成元年(1989)に消費税が導入されるのに対応してトランプ類税法は廃止された。この税金は、すでに国の財源としてはごく小さなものになっていたし、すでに花札の価格が一組一千円を超えるようになっていたので、一組四十円という税額は、一千円の中級品で四パーセント、一千五百円の高級品では三パーセントを下回っていた。これを三パーセントの消費税に振り替えても影響は少なかった。

トランプ類税法の廃止はかるた業界にとって歓迎するべきものであった。何よりも、同法の施行に伴うカルタ製造工程の厳格な監視、綿密な帳簿作りの義務から解放されることが朗報であった。そして、一般の人々にとっても、禁止税法を気にすることなく自由にカルタを製作できるようになったという意味で朗報であった。

だが、すでに時代は変化し、社会は大きく変わっていた。今日では、カルタの遊技を知っている者自体が減少しており、とくに若い世代ではこれに親しんだことのない者が圧倒的である。花札を知っていますかと問えば、それは祖父母の趣味で以前に遊んでいるのを見かけたことがありますが触ったことはなく、カードのことも分らないし遊び方も知りませんという答えがごく普通に返ってくる。カルタの遊技は存続の危機にあるように見える。少し後の時期になるが、将棋界のプロ棋士である先崎学は平成十五年(2003)に『小博打のススメ』[1]を表した。ここでは「麻雀」「サイコロ博打」「カード・ゲーム」「おいちょかぶ」「手本引き」「カジノ」「将棋」の各種の賭博遊技について遊技方法が解説されている。残念ながらカルタの関係するのは「おいちょかぶ」だけであるが、著者が自分の体験に基づいて進める説明には説得力がある。

そうではあるが、それでもトランプ類税法の廃止は朗報である。こうした新しい事態に面して、さまざまな新しいカルタのアイディアが出されるようになった。私の手元には、十二紋標、四十八枚のフル・バージョンで制作された新企画、新デザインのカルタが百組以上ある。これを五十音順に列挙して紹介することで、平成年間三十年の趨勢を見てみたい。


[1] 先崎学『小博打のススメ』新潮選書、新潮社、平成十五年。

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