二 うんすんカルタ図像の比較研究 (八)「すんくんカルタ」の紋標「矢」 すんくんカルタの紋標「矢」(『うんすんかるた』) この際、ここで扱ううんすんカルタの図像論とは直接に関係はないが、「すんくんカルタ」の第六の紋標の札の図像について一言しておきたい。この紋標が「矢」であることはすでに紹介したが、その紋標の描き方に変化がある。紋標「矢」での図像の人物は、中国人らしい装いで立つ男性「ソウタ」... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (七)「ウン」と「スン」 ウンの札(上・蝙蝠龍、下・火焔龍) 残っているのは「ウン」と「スン」である。「ウン」は七福神の図像であり、「ハウのウン」は大黒天、「イスのウン」は寿老人、「コップのウン」は布袋、「オウルのウン」は恵比寿、「グルのウン」は七福神外の達磨である。七福神は日本で考え出された編成であり、うんすんカルタ日本考案説の論拠になるが、... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (六)「ソウタ」「ウマ」「キリ」の図像 ソウタの札(上・江戸時代前期、下・江戸時代中期) 続いて絵札に移ろう。ここでの最大の問題は「ソウタ」である。南蛮カルタでは、四紋標とも、左側を向いた立像である。いずれも女性で、「ハウ」と「イス」には左下隅に、また「コップ」と「オウル」には右下隅に楯があり、各々左手でそれをつかんでいる。右手は各々紋標を掴んでいる。「ハウ... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (五)ドラゴン・エースと別の「一」の札 うんすんカルタ。ドラゴンと一(上下とも左より「ハウ」「イス」「コップ」「オウル」「グル」、滴翠美術館蔵、江戸時代前期) 南蛮カルタにあった、龍が紋標にまとわりつく「一」の札は、うんすんカルタでは「ロハイ」と呼ばれて絵札扱いになり、そこに空いた空隙を埋めるように、紋標が一つだけ描かれた「一」の札が新たに考案された。これは... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (四)「ハウの二」の交差する棒と人物像 ウンスンカルタ・ハウの二 (上・蝙蝠龍、下・火焔龍) 「ハウの二」の札の変化も重要である。日本のうんすんカルタは、世界にほとんど例のない独特な変貌を遂げた。この札はもともと二本の棒が交差する形に描かれるのであり、この交差するという構図の基本は世界中どこに広まったカルタでも違いはない。ところが、日本では、「火焔龍グループ... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (三)紋標「ハウ」と「イス」中央の菱形 もともと南蛮カルタでは、紋標「ハウ」と「イス」の数札では、「二」から「九」までのすべての札で、棒や剣の図像が交差する中央部分に黄色の菱形の模様がある。これは、ステンシル技法で彩色する際に、交差する部分の印刷が煩雑になるのを防止するための工夫と思われる。日本のカルタ札のうちの天正カルタでは手描きのものでも木版のものでも「... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (二)オウル紋の彩色 オウル紋の彩色の違い(上・蝙蝠龍、下・火焔龍) 「蝙蝠龍」と「火焔龍」の違いはなぜ生じたのか。その答えのヒントは二つのグループのカルタ札に認められる、いくつかの図像上の食い違いにある。まず「オウル」紋の彩色である。「蝙蝠龍グループ」のうんすんカルタでは、「オウル」紋の彩色は左右に分けられ、向かって左側の半円が赤色、右側... 館長
二 うんすんカルタ図像の比較研究 (一)蝙蝠龍と火焔龍 うんすんカルタ(上・蝙蝠龍、下・火焔龍) 日本に伝来したヨーロッパのカルタには、押しなべて四つの紋標に一枚ずつ、合計四枚、龍の図像が付いたカードがある。それを良く見ると、①「九博蔵品」、②「西沢旧蔵品」、③「南蛮文化館蔵品」、④「明治期木版品」では蝙蝠のような羽を広げた龍の周りに花の模様があるか、あるいはこの花が省略さ... 館長