4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 八 和漢泰西先哲格言のかるた ここで、「英語諺和英かるた」との関係で興味あるいろはかるたを紹介したい。それは明治二十四年(1891)に伊勢國渡會郡宇治山田町の三重縣士族、吉田轍五郎を編集兼発行者として出版された「和漢泰西先哲格言以呂波骨牌(わかんたいせいせんてつかくげんいろはかるた)」一枚である。その内容は次のとおりである。 和漢泰西先哲格... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 七 ローマ字表記のいろはかるた このように出版広告では英語と並んでローマ字の学習が取り上げられているが、これに関連して、明治前期(1868~87)の不思議なローマ字付きいろはかるたを紹介しておこう。これは、絵札の図像がほとんど女性中心であり、女児向けの教育的ないろはかるたであるが、いろはの頭文字の下に、同じように丸く囲ったローマ字表記がある。明治前期... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 六 英語訳「(日本)譬え合せかるた」 この時期には、日本人が外国人に日本の譬えを英語で説明するためのかるたという複雑、奇妙なものも作られている。明治前期の木版のかるたであるが、文字札には「怒(いか)るは敵(てき)とおもへ」とあり、上部にThink that angry is like enemy(シンク ザツト アングリ イズ ライク エネミイ)」とある。... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 五 「英語格言和英かるた」 もう一点、紹介したいのは「英語格言和英かるた」(仮題)である。東京の出版業でかるたの出版にも根深であった横山長八の制作したもので、明治二十年代(1887~96)の制作かと考えている。残存するカードから見ると、同一のかるた屋から「英語格言英和かるた」と「英語格言和英かるた」が同時に出版されている。ここで「英語格言和英かる... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 四 「リイドル英語軽多」 次に見たいのは、明治前期(1868~87)に東京の神田鍛冶町、長谷川常治郎が出版した木版の「リイドル英語軽多」(仮題)である。これは、一般向けに木版摺りで制作された英語かるたとしては早い時期のものである。カードは「イ」「ロ」「ハ」四十七文字に「京」の代わりに「ン」が加わり四十八対・九十六枚で構成されており、各々のカード... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 三 「英吉利言葉和解かるた」 私がこれまで実見できた中で最も古い英語かるたは、制作者不詳の「英吉利言葉和解かるた」(仮題)であり、平成年間前期(1989~2003)に大牟田市立三池カルタ記念館(現大牟田市立三池カルタ・歴史資料館)の所蔵に帰した。 これは、自然、物品、人物などを題材とする百対・二百枚のかるたで、カードの大きさは縦五・九センチ、横... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 二 「倭蘭あはせかるた」 このかるたは、およそ江戸時代後期(1789~1854)のものと思われるが、自然、文物、人を題材にして、事物の名前を示す名詞が、オランド顎、日本語の双方で書かれた対のカードで構成されている木版彩色のものであり、カードのサイズは縦七・三センチ、横四・八センチである。これは、絵札、字札ともに一枚に五段、五列、合計二十五枚のカ... 館長
4-3 江戸はかるたの王国③「外国語かるた」 一 江戸の「異国語かるた」 江戸時代、鎖国の時期には、外国に関する興味が偏ったためであろうか、異国語の「単語かるた」はほとんど出版されていない。わずかに一点、「倭蘭あはせかるた」が伝えられているだけである。これは昭和前期(1926~45)に復刻されたが、それに関する研究は聞かない。かるた史の史料として紹介するのも今回が初めてである。 幕末の開国後... 館長