五 花牌の盛衰史 (八)日本における花牌麻雀の冷遇 ところで、日本人が麻雀にしたしむようになった大正後期(2019~26)から昭和初期(1926~35)の時期には、中国では素麻雀の時代に入っており、すでに混子牌も季花牌も使われなくなりつつあった。そこで、日本における麻雀技法の紹介書、解説書は、例外なく混子牌を無視し、季花牌について、これを用いた技法を客観的に紹介したもの... 館長
五 花牌の盛衰史 (七)中国国外に残る花牌麻雀 花牌(ベトナムの牌) 花牌インフレの牌はゲーム用品としては衰退しており、調査が困難である。できれば中国国内でこれを遊んでいる地方を発見して記録を残したいと思っているが、期待薄である。 ところが、ベトナムには、今日でもなお百六十枚一組の麻雀牌が残されている。花牌は全部で二十四枚あり、「春」「夏」「秋」「冬」、「梅」「蘭」... 館長
五 花牌の盛衰史 (六)中村徳三郎の紹介する花牌満開の骨牌 中村徳三郎牌 今日の中国ではこの説は比較的に軽視されているが日本では有力な理由のひとつは、まさにこれと思われる牌が中村徳三郎『麻雀競技法』の口絵に掲載されていることである。これ有る限り、太平天国起源説は単なる伝説では終わらない。 この牌は、索子のデザインが「竹の葉」で万子は「万」の字である。「一索」は揺れ動いているチン... 館長
五 花牌の盛衰史 (五)異説・太平天国起源説 花牌の起源についてはもうひとつの説がある。太平天国起源説といってよい。太平天国の時期の麻雀に加えられた「筒化」「索化」「萬化」「天化」「王化」「東化」「南化」「西化」「北化」を花牌の始祖と考えるもので、日本では有力である。その詳細は浅見論文で明らかであるが、中国サイドにも、中華民国の時代までは、少なくとも安徽省、陝西省... 館長
五 花牌の盛衰史 (四)花牌の多様なる図柄 「男女平權」牌 花牌のインフレ期に、いくつものデザインが考えられた。「春」「夏」「秋」「冬」、「梅」「蘭」「菊」「竹」(地方によっては「蘭」「竹」「菊」「梅」)、「天官」「聚宝盆」「猫」「鼠」、「官人」「聚宝盆」「釣人」「魚」などのほかに、「福」「禄」「喜」「寿」、「魚」「蜻」「蟹」「蝦」、「棋」「僧」「待」「月」... 館長
五 花牌の盛衰史 (三)短かった絶頂期・花牌の衰退 こうして花牌はその最盛期を迎えた。二十四枚の全体を「花牌」と呼ぶが、「絵牌」とも呼んだ。1920年代の日本の文献で花牌を「絵の模様の印刻したもの」、「花駒(絵駒)」と呼んでいるものがある。欧米の文献で花牌をピクチャーと呼ぶものもある。いずれも広義の絵牌の意味である。 ところが、過ぎたるは何とやらで、これだけ花牌が多くな... 館長
五 花牌の盛衰史 (二)絵牌の登場 花牌の流行は過熱して、听用牌も財神牌も八枚づつ使うようになった。さらに加えて、聴用牌と財神牌の両者の特性を兼ね備えたジョーカー兼ボーナスという結構な牌が登場した。これが「絵牌」である。四川省では「駝駝」とも呼んでいる。「絵牌」も四枚から始まってまもなく八枚に増加し、結局、花牌は聴用牌、財神牌、絵牌の合計で二十四枚になっ... 館長
五 花牌の盛衰史 (一)聴用牌・財神牌が花牌の起源 文化大革命後、1970年代以降の中国で発行されている標準的な教則本の類は、内容的にはなかなかに興味深いものがあるが、日本の麻雀史研究では無視され続けてきた。私はそこに一種の上から目線、日本優越史観の臭いを感じていて、もっと謙虚に参考にするべきであろうと思い、中国の各地でこの種の書籍を求めていた。しかし、これらの教則本は... 館長