海域アジアのカルタ文化 海域アジアのカルタ文化 黒宮公彦著『トランプゲームの源流第1巻トリックテイキングゲーム発達史』への応答 令和四年二月、私の尊敬するカルタ史研究者の黒宮公彦さんが著書『トランプゲームの源流第1巻トリックテイキングゲーム発達史』(合同会社ニューゲームオーダー社)を出版なさり、その中で、貴重な紙幅を割いて私の述べてきた日本カルタ史の説明について、批... 管理人
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 百人一首の正体 百人一首発祥論著作の読書感想(追記) 吉海直人『百人一首の正体 もう一冊追加しておきたいのは、吉海直人の『百人一首の正体』(角川ソフィア文庫、二〇一六年)である。この書は、吉海直人のしてきた仕事のまとめのようなもので、百人一首について、鎌倉時代のその歌集としての成立から現代の饅頭、茶碗、アクセサリーまで広範囲に扱ってい... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 百人一首の歴史学 百人一首発祥論著作の読書感想(追記) 関幸彦『百人一首の歴史学』左・初版、右・再版 日本中世史を研究する歴史学者、関幸彦著は、二〇〇九年にNHKブックスの一環として、本書、『百人一首の歴史学』を刊行した。私が本書を知ったのは二〇二一年、「NHK出版」での刊行の年からすると十二年後である。私のこの文章は基本的に百人一首に... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (六)百人一首かるた史への反映 さてそれでは、以上のような百人一首起源論での読書遍歴が、私の本業である百人一首かるた史の研究にどのように跳ね返ってきたのだろうか。そのことを語ろう。 まず、【表一】は、江戸時代初期(1603~52)、前期(1652~1704)の百人一首かるたにおける歌人名、和歌本文表記の揺れを示すものである。この一覧表の原型は昭和六十... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (五)百人一首成立史の理解 さて、以上のような百人一首起源論の読書遍歴とそれに関連する考察の経緯から、何が学び取れるか。基本的に一読者に過ぎない私は、多数の文献を読破した後に、今では、百人一首発生史の検討対象を、『歌集X』、『嵯峨中院障子色紙和歌』『百人秀歌』『小倉山荘色紙和歌』『冷泉家本百人一首』『為家筆百人一首』『二條家本百人一首』の七点と設... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (四)「百人一首の謎」本の群立(続)-石田善子から寺島恒世まで いしだよしこ『小倉山荘色紙和歌 百人一首の謎解き』 いしだよしこ(石田善子)『小倉山荘色紙和歌 百人一首の謎解き』がこれに続く。石田は、織田の著作から着想を得て、自己流の歌群のまとめ方を考案する。石田が着目したのは、百人一首がもともとは嵯峨中院の襖障子に貼る色紙の形で構想されていたことであり、石田吉貞の考証に基づき、襖... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (三)「百人一首の謎」本の群立-林直道から松村雄二まで 林直道『百人一首の秘密 驚異の歌織物』 織田に触発され、それに次いだのは、林直道『百人一首の秘密―驚異の歌織物』である。これは、百首の和歌を言葉のつながりを鍵にして十掛ける十の方形の中に配置して、そこに後鳥羽院が愛した水無瀬の風景を浮かび上がらせて、この歌集が定家の後鳥羽院への追慕を表現していると解く。織田の発見した言... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (二)衝撃的だった織田正吉説の登場 織田正吉『絢爛たる暗号 百人一首の謎を解く』 百人一首を藤原定家による言語遊戯の傑作と理解する織田正吉の『絢爛たる暗号―百人一首の謎を解く』での問題提起は、発表時からセンセイショナルに受け止められた。私もさっそく読んで、衝撃を受けた。織田は、定家が、自身の開発した各種の作歌の技巧を重視し、二首が対になる編集を構築し、そ... 館長
絢爛たる暗号?・百人一首発祥論著作の読書感想 (一)絢爛たる暗号、百人一首の謎、百人一首の秘密、百人一首の呪 百人一首という歌集には、よく分からないことが多い。記録では、藤原定家が姻戚関係の宇都宮頼綱(よりつな)に提供した個人的な選歌集が元ではないかと考えられているが、色紙状であった原本やその写しは散逸しており、歌人名も、百首の和歌の歌順も、またその表記も定まった史料がない、と言われていた。そこに、昭和後期(1945~89)に... 館長