六 江戸時代後期の読みカルタ遊技 (二)取締り当局者の残す文献史料の効用と限界 『博奕仕方風聞書』は、賭博の取締り当局者が執務のために書き上げたものであり、記述された内容については寛政年間の賭博の実情を正確に描いたものとして信頼性が高く、カルタ史の研究者たちはほとんど史料批判を加えることなく活用してきた。だから私は、この報告書の執筆者を検討し、文書完成の時期を特定しようとした研究室の作業は高く評価... 館長
六 江戸時代後期の読みカルタ遊技 (一)寛政年間の『博奕仕方風聞書』が示す読みカルタ遊技 よみ仕方(『博奕仕方風聞書』) 江戸時代の読みカルタに関して重要視されている文献史料の一つが『博奕仕方風聞書』である。これは寛政七年(1795)に、江戸北町奉行所で市井の博奕犯罪の取り締まりに当たっていた臨時廻の数名が提出した各種の博奕の実状報告書であり、そこに、めくりカルタやかぶカルタとともに、読みカルタ賭博について... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (四)山路閑古の研究に学ぶ さて、こんな言い合いをいくら続けてもあまり意味はなかろう。要するに、一枚の版画が、図像そのものを見る私には合せカルタ遊技の場面に見え、周辺情報で理解する研究室には説明文の言う「よみがるた」は無条件に「読みカルタ」遊技を言うと理解され、したがって図像は「読みカルタ」の遊技場面に見えるというだけのことである。 私が言いたい... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (三)上部の狂歌が言う「よみかるた」は札か遊技法か そして、そもそもの出発点に戻るが、ここにある狂歌の二子(にこ)ゝゝと三子(さんこ)にちかきよみがるた 青二(あをに)ひねれば丸二(おかわ)なりけり」という言葉をどう理解するのか。研究室は狂歌の説明では「ご機嫌顔で『青二』を打ったところ、なんと『太鼓二(紋標オウルの二)』が出て来た…?」と書いている。他方で、図像の説明で... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (二)『繪本池の蛙』の画像は合せカルタ遊技の場面 そこでは、ページの上部に「二子(にこ)ゝゝと三子(さんこ)にちかきよみがるた 青二(あをに)ひねれば丸二(おかわ)なりけり」という狂歌があり、下部に、男二人、遊女らしい女二人で夜間にカルタ遊技を楽しむ場面が描かれている。場面は、右側の男が右手に四枚の札を持ち、女二人が右手ないし左手に五枚の札を持ち、そのうちの女一人がさ... 館長
五 読み遊技の絵画史料、『繪本池の蛙』 (一)宮武外骨がカルタ史研究に投じた好史料『繪本池の蛙』 大流行した読みカルタ遊技については、絵画史料も数多く残されており、研究の役に立つ。私は研究を始めた当初からそれを探し、そこに描かれている場面がどのような遊技法のどのような瞬間を捉えたものであるのかを解析してきた。当時私は、こういう私の研究手法を導いてくれる先達の業績を見つけることができなかった。ほぼすべての先行業績では... 館長
四 『雨中徒然草』の書物としての性格 (二)『雨中徒然草』は読みカルタ好きの書いた趣味本 以上、『雨中徒然草』と詳細に付き合ってみると、その正体が見えてくる。本書は、明和六年(1769)正月の「叙」と、翌明和七年(1770)正月の「跋」に挟まれた半紙版半裁二ツ折、横本、序九丁、本文三十丁、合計三十九丁の出版物である。どうやら、明和六年(1769)の正月に出版しようと準備したが不十分だったのか満足できなくて延... 館長
四 『雨中徒然草』の書物としての性格 (一)『雨中徒然草』は読みカルタ遊技の教則本か 以上から見える江戸時代の読みカルタ遊技の役は、すべての役に紋標「ハウ」、つまり「青」の金入札が絡まって構成されている。七枚の金入札は勝敗のカギであり、これが手中に入らなければとても不利、むしろ降りるべき展開である。「読みは絵の付き次第」という当時の遊技者の感想は至当なものである。次に、四枚以上の札で構成される複合役は別... 館長
三 読みカルタの約 (六)読みカルタ遊技での紋標「ハウ」の札の優遇 以上、『雨中徒然草』の解析を経て、江戸時代中期の読みカルタの実相を見ることができた。これまでの説明から、一定のイメージを持つことができたと思う。その際に、とても奇妙な一つの事実があることにも気付いたことと思う。すでに少し触れたように、紋標「ハウ」の札がとても優遇されていることである。遊技の勝敗に直結する役の形成において... 館長
三 読みカルタの約 (五)手札の偏りによる役 「五くるま」役は、配分された札の数字が繋がっている場合である。「五」「六」「七」「八」「九」「十」「馬」「キリ」の八枚にもう一枚あって九枚になる。これを「五」から出すと、「キリ」まで八枚連続で処理できる。そして、「キリ」を出した者は次に自分の好む数字の札から次の巡を始めてよいのがルールなので、手中の九枚目の札は何であっ... 館長
三 読みカルタの約 (四)一枚役、二枚役 以下は一枚役、二枚役である。 「野馬」(白絵に「青馬」)・打てあつかい。(説明文に「ただしをや出半あつかい」とある。) 「野切」(白絵に「青きり」)・一ツ(説明文に「打て竹四ツ、白絵ほうび」とある。) 弁てん(弁天)」(白絵に「あざ」)・三ツ、打て四ツ、ほうび」とある。) 「こゝく寺(護国寺)」(白絵に「釈迦十」)・三... 館長