ローファー牌
ローファー牌

(六) ローファーの麻雀牌

ローファー牌は、AMNHのスタッフ、ベルトード・ロ-ファー(Berthold Laufer)が、一九〇一年から一九〇四年にかけて、博物館の仕事で中国に滞在しているときに入手したもので、スタンウイックによるAMNHの調査で再発見された。 

ローファー牌は、縦二四ミリ、横二〇ミリ、厚さ一一ミリで、牛骨製である。背面は黒色の木材である。この牌は、上蓋がスライドして開く木製の箱と番号が続いて登録されている。スタンウイックは、これを別のものと考えるのは誤解で、箱と麻雀牌はもともと一体のものであったと考えている。この箱には、縦に列に「昌豊同」「 麻雀号」と木版で捺されている。そのほかに、「中發」「烏木」と手書きで書かれている。 

ローファー牌の牌構成、その図柄はウイルキンソン牌に酷似している。二〇世紀初頭の麻雀牌は、まだ一九世紀的な特徴をしっかりと受け継いでいたのである。ローファー牌では、その収納箱もとても興味深い。そこに書かれていることは、意訳すれば、「昌豊同という制作者が作った麻雀号の背黒中發牌」ということになる。麻雀牌が、この時期にもまだ「中發」と呼ばれていたことと、「麻雀号」と書かれていたこととはしっかりと記憶しておきたい。 

いずれにせよ、ウイルキンソン牌とローファー牌によって、一九世紀末期から二〇世紀初頭における麻雀牌の基準的なサンプルを得たことになる。近代型の麻雀牌の誕生直前の姿を見ることができるのであって、史料的には貴重なものである。私は特に「麻雀号の背黒中發牌」という箱書きに関心がある。両者ともに「中發」牌である。「寧波麻雀」牌が、単純にすでにあった「中」牌に「發」と「白」を加えたのであれば、「中發」入りではなく「發白」入りと書きそうなものである。だが「中發」入りと表記されている。これは多分、「三元牌」の成立に関する何か私の知らない事情があってのことと思う。なんだろうか。 

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