4-1 江戸はかるたの王国①「芝居遊びかるた」 一 江戸時代後期の「絵合せかるた」類 江戸時代後期(1789~1854)には、「いろは譬え合せかるた」の外にも、「字札」を「読み札」として、「絵札」を「取り札」として使う「絵合せかるた」の遊技が盛んであった。山口吉郎兵衛の著書『うんすんかるた』や集古會の機関誌「集古」に掲載された展示会記録にも「鳥類合せカルタ」「野菜青物尽絵合せカルタ」「士農工商器材尽絵合... 館長
3-4 「めくりカルタ」の発祥 五 山路閑古の「めくりカルタ」研究 私は、2-4で江戸中期の読みカルタを検討した際に、古川柳研究者として高名な山路閑古、本名萩原時夫のめくりカルタ研究について論及した。ここでもそれを繰り返して指摘しておきたい。 『古川柳』(日本古川柳学会、昭和二十二年) 山路は、昭和二十二年(1947)に、日本古川柳学会の機関誌『古川柳』に、「めくりかるた考」という論文... 館長
四 賭博カルタ遊技取締り政策の転換 (五)生き残った賭博系カルタ 寛政の改革による抑圧にもかかわらず、日本社会では賭博カルタの文化は大いに栄えて、爛熟の様相を示していた。江戸時代初期(1603~52)からの正統のカルタ遊技は京都、五條橋通のカルタ屋が制作する木版の賭博系カルタを使うものである。このカルタは寛政の改革における取締り強化の主要なターゲットであったのだから一時はひっそりとな... 館長
四 賭博カルタ遊技取締り政策の転換 (四)カルタ博奕取締り強化の実際 寛政年間の賭博取締りの実際については『御仕置類例集』『問答集』その他の記録史料に多くの処罰記録がある。また、当時の賭博の実情については江戸町奉行所与力の調査報告書『博奕仕方風聞書』がある。そこには、骰子博奕の「丁半」「投丁半」「大目小目」「ちょぼ一」、役者紋所を応用した当て物の「ひっぺがし」「棒引」、紐籤の「三から」「... 館長
四 賭博カルタ遊技取締り政策の転換 (三)長期間の幕政の転換と儒学者中井竹山の影響 松平定信政権が展開した新政策の中で、賭博遊技のあり方に特に関連するのは治安の回復と風紀粛正であった。天明年間には、気候変動によって農業が不振になり、飢饉、棄農、離村、暴動等が頻発し、犯罪が増加するとともに、棄農、離村した人々が都市に流入し、あるいは徒党を組んで博徒集団を形成し、それが治安の大きな妨げになり、地方では郷村... 館長
四 賭博カルタ遊技取締り政策の転換 (二)寛政の改革によるカルタ博奕の禁制 カルタ博奕の禁制を本格化させたのは、空前のめくりカルタブームであった天明年間(1781~89)の末に成立した松平定信政権である。この政権は寛政年間(1789~1801)に入ると歌舞伎、絵草子、浮世絵などへの執拗な抑圧とともに、博奕の取締りにも厳しくあたった。それは、享保年間(1716~36)の徳川吉宗政権以来の、賭博行... 館長
四 賭博カルタ遊技取締り政策の転換 (一)安永三年十二月の「めくりカルタ」禁圧騒ぎ 師走の街頭風景(『東都歳事記』) 大田南畝は『半日閑話』中で、安永三年(1774)十二月に「此節町にめくりかるた御禁制強し」と書いている。これまで見てきたように江戸時代中期には、幕府はカルタの賭博遊技については寛容であったから、これは真夏に雪が降ったというたぐいの不思議な記述である。この突発的な事件については、カルタ史... 館長
三 「めくりカルタ」の流行 (三)「めくりカルタ」の流行と芸者の嘆き めくりカルタ遊技図(『下手癖永物語』、天明三年) 山東京伝の『寓骨牌』よりも少し早く天明三年(1783)刊の井久治茂内作の黄表紙『下手癖永物語』も京伝の作品に匹敵するめくりカルタ趣向の傑作である。「太鼓の二」と「おキリ」が駆け落ちしたところ、「おキリ」に懸想していた「アザ」が立腹し、「青二」「釈迦十」「青九」「青八」ら... 館長
三 「めくりカルタ」の流行 (二)『花の春上手談義』は「めくり」遊技図か めくりカルタ遊技図(『花の春上手談義』) 天明二年(1782)に市場通笑作、鳥居清長画の『花の春上手談義』(研究室の表記では単純に『上手談義』)が出版されている。内容は善心坊という僧が説話をして「思ひのほかの大入」になったが、最後に不始末をして「百日の説法屁一つ」で終わるという笑い話を挿画付きで面白く展開するものである... 館長
三 「めくりカルタ」の流行 (一)山東京伝は「めくりカルタ」好き めくりカルタ遊技図(『お花半七開帳利益札遊合』、安永三年) この時期に江戸で活躍していたのが戯作者の山東京伝である。京伝もめくりカルタが大好きで、デビュー作と思われる安永七年(1778)刊の『お花半七開帳利益札遊合』からして『咲分論』の真似をしてめくりカルタをもじった作品であり、そのめくりカルタ好きが趣向になって全面的... 館長
二 「めくりカルタ」遊技の歴史 (四)鬼札と幽霊札 めくりカルタの遊技法を見ると、「ゆうれい札」と「鬼札」が重要な働きをしている。これらのカードがめくり札に添付されるようになったいきさつについては、上で扱った初代中村仲蔵の回顧録『月雪花寝物語』に重要な記述がある。仲蔵によると、めくりカルタに「仲蔵」ができた由来であるが、まずキンゴに「狐札」ができて、「十五」をこえて「十... 館長