三 かるた遊技の文化史的意義 (二)日本式かるたと日本の文化史 日本式かるたが社会的に広まったのは江戸時代前期(1652~1704)、第四代将軍徳川家綱の治世以降のことである。それ以前のごく少数の上級の武家や公家の世界での遊技具から発展して、遊郭での優雅な遊興の具となり、さらに一般社会に広まっていった。各種の「絵合せかるた」も「歌合せかるた」も、遊技と考案が重ねられていて、遊興と親... 館長
三 かるた遊技の文化史的意義 (一)国語(日本語)教育におけるかるたの活用 文部科学省は平成二十年(2008)の学習指導要領改定において、新たに〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の教育として、小学校三、四年生の国語で「ア 伝統的な言語文化に関する事項」として「(ア) 易しい文語調の短歌や俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。(イ) 長い... 館長
二 自由花札の時代の様相 (五)自由なグローバル花札への展開 日本で考案された花札は、世界的に見ても魅力のあるカード・ゲームである。フィッシング・ゲームという手札で場札を釣り取ってくるタイプの遊技法は、国外に広まる十分な魅力を持っている。遊技文化の世界では、海外、特に欧米の遊技が先進的であり、グローバルであるという観念が強いが、こうした欧米崇拝の是非はさて置くとして、花札にはグロ... 館長
二 自由花札の時代の様相 (四)かるた遊技愛好者グループと新遊技法開発 こうして、平成元年(1989)のトランプ類税の廃止は、平成年間(1989~2019)にまったく新しい発想のカルタ、かるた文化を生み出したのである。それは、伝統的な花札の制作者やその取り巻きから見れば、販売不振であり、堕落であり、花札文化、かるた文化の終末にしか見えないであろう。だから「花札は、かるたの絶滅危惧種の代表」... 館長
二 自由花札の時代の様相 (三)花札のデジタル化、花札遊技のデジタル化 これに加えて、デジタル社会の驚異的な発展に伴い、インターネット上に多数の花札遊技サイトが登場した。そこでは、もちろん伝統的な花札図像を用いるものもあるが、新しい発想で基本の図像とは異なる独自の図像を取り入れることも容易である。もちろんここでも、個人のアートとして、花札図像をもじった数枚のカードデザインを発表する者が多数... 館長
二 自由花札の時代の様相 (二)かるたのトレーディング・カードとしての活用 もう一点注目されるのは、平成年間(1989~2019)に入って、花札の四十八枚をすべて制作するのではなく、その中の何枚かに限って制作する場合が増えたことである。一つには、キーホルダー、ストラップ、ワッペン、クリアファイル、マスキング・テープなどに載せるカルタ状の図柄としての活用であり、特にタレントのコンサートなどのプロ... 館長
二 自由花札の時代の様相 (一)「自由花札の時代」の先例は「自由麻雀の時代」 私は、こういうかるた、カルタの世界の動きを、自由花札の時代と呼んでいるが、その趣旨をもう少し説明しておきたい。 この言葉は、1910~20年代の中国で唱えられた「自由麻雀の時代」のもじりである。この「自由麻雀」について、かつて私は千葉県いすみ市に開設された「麻雀博物館」の会報に一文を寄せたことがある。今日では入手しにく... 館長
一 トランプ類税法の廃止と新しいカルタ文化の芽生え (五)自主製作のいろはかるた、郷土かるたの湧出 なお、この時期に同じような発想で先行しているのが、元々トランプ類税法の禁止が及ばずに自由な創作が可能であった「いろはかるた」の事例で、昭和後期(1945~89)に一千種類を超える「郷土かるた」が制作されたが、平成年間(1989~2019)になるとその数はさらに爆発的に増加した。ここには、各地の観光協会や趣味人の自主制作... 館長
一 トランプ類税法の廃止と新しいカルタ文化の芽生え (四)アート花札、自在花札 「平成自由花札」には、これらのほかに、タレントなどのPRを目指したコンサートの記念品や、その他アート系や個人の思い付きによるものがある。以下のようなものである。 「花札 京友禅」(ウインドミル、発行年不詳) 「蒼天花・馬札」(大阪商業大学、平成十三年) 「蒼天花・虎札」(大阪商業大学、平成十三年) 「笑点花札」(日本テ... 館長
一 トランプ類税法の廃止と新しいカルタ文化の芽生え (三)「地方札」の覚醒 次に、この時期に、地方をPR したり、地方に残る伝統カルタの保存、復権を図ったりするものもある。これも列挙しよう。 「越後花(新潟県)」(参考品)(大石天狗堂、発行年不詳) 「中期天正カルタ」(「三池カルタ」復元品)(大牟田市立三池カルタ記念館、平成元年) 「総理大臣の花加留多」(大石天狗堂、平成三年) 「うんすんカル... 館長
一 トランプ類税法の廃止と新しいカルタ文化の芽生え (二)キャラクター花札の登場 まず、テレビ、マンガ、ゲームなどのキャラクターを扱った花札が大量に出現した。以下のようなものである。 「もーれつア太郎・もーれつ野菜札」(バンダイ、平成二年) 「さむらい花あわせ」(SNK、平成十年) 「帝劇花組札」(セガ、平成十年) 「妖怪花あそび」(やのまん、平成十一年) 「えゔぁふだ」(ム―ビック、平成十二年) ... 館長
一 トランプ類税法の廃止と新しいカルタ文化の芽生え (一)トランプ類税法の廃止と自由なカルタ札作り 平成元年(1989)に消費税が導入されるのに対応してトランプ類税法は廃止された。この税金は、すでに国の財源としてはごく小さなものになっていたし、すでに花札の価格が一組一千円を超えるようになっていたので、一組四十円という税額は、一千円の中級品で四パーセント、一千五百円の高級品では三パーセントを下回っていた。これを三パーセ... 館長